1/28 栃木県小山市 事件報道を受けて

 栃木県小山市。17歳の女子高生が、外出先のトイレで出産し、男児を「殺害」した疑いで「逮捕」されました。

詳細はまだわかりませんが、小山市での、また新型コロナの長期化で心身の疲弊がある中での出来事に、大きなショックを受けた方も多いのではないかと思います。

 

 私たちNPO法人そらいろコアラは、栃木県在住の方を対象に、妊娠・出産・子育ての無料のLINE相談を行っています。十代の妊娠不安や葛藤の相談も、これまでにも受けてきました。

2020年4~5月。新型コロナに伴う緊急事態宣言や長引く外出自粛で、全国的にも十代の妊娠相談が急増しました。今、その出産の時期を迎えています。私達の窓口も、年始以降、これまでよりもはるかに多い数の相談が寄せられています。

  

 私たちは、栃木県を拠点としながら、この女子高生とどこかで繋がることはできなかったのだろうか。彼女やそのパートナー、ご家族とどこかの時点で繋がっていたら、できることがあったのではないか。妊娠や出産に、悩みや葛藤を抱えている妊産婦さんが、今、このタイミングに他にもきっといるだろうと思いながら、どうにか彼女たちと、「事件」になる前に繋がりたいと念じながら、思いを書いています。

 

 母親となった女子高生も、どこかにいるはずのパートナーも、彼らの家族も周囲の人も、十代の予期せぬ妊娠を誰も「ひとりでは」抱えきれません。そこにおいて周囲からの孤立は、対応策やその選択肢を狭め、母体や子どもの安全を簡単に脅かします。

 

 子育てを地域にひらく。妊娠・出産前から繋がる。母体だけに抱えさせない。

今回の事件は、出産時の事件性だけでなく、それまでの数カ月にわたって当人が抱えていたであろう辛さや孤独に周囲や地域がどう繋がっていっていたか、なぜ繋がれなかったのかを考える契機です。

 

 栃木県には、全国に広がる「妊娠SOSネットワーク」の窓口がありません。私達のLINE相談窓口も、現時点では行政の委託や補助金のないまま、団体資金のみで運営しています。急増する相談ひとつひとつに対応するために、人員や資金の確保が急務です。

県事業としての「にんしんSOS」窓口の整備と、行政・医療機関とのネットワークの整備、中高生を含む妊娠・出産・育児世代へのさらなる周知への協力を求めます。

NPO法人そらいろコアラ

共同代表理事 鳥飼 蓬子

2020年1月28日