社会課題と団体への思い

医療機関とその連携の視点から

そらいろコアラ 共同代表

ますだ たくや

増田卓哉


こどもを取り巻く家庭環境は年々複雑化し、従来的な家庭内で完結する子育てには限界がきています。

日本の子どもの7人にひとりが貧困状態にあると報告されており、それは経済的な貧困だけではありません。

学びや、経験、関係性の貧困。虐待、ネグレクト、ヤングケアラー、心身症、不登校、DV。

 

わたしたちは、民間団体/NPOとして、こどもの居場所や表現活動、各種イベントでこどもたちと関わってきましたが、その一方で、このような親子が「医療機関にどのような姿で現れるか」を知っています。

 

治療が必要な疾患があっても、通院が継続できずに入退院を繰り返します。

体重が増えないお子さんの自宅を訪問すると、貧困で冷蔵庫に食べ物がありませんでした。

乳幼児のきょうだいの世話で遊びも勉強も我慢し、ときどき逃げ込むように喘息発作をおこします。

両親のDVや精神状態が心配で、家から離れられず、引きこもりや肥満が加速していきます。

 

医療機関ではたくさんの気がかりを抱えますが、地域行政のサポートにも限界があります。

(マンパワーも足りないし、時間外の対応はできないし、保護者との信頼関係なんて簡単につくれません)

虫歯がたくさんあるなと思っても、歯科受診をすすめるだけで終わってしまうのが現状です。

 

地域の中で子育て支援は充実してきて、こども食堂は増えています。

経済的な支援も増え、なんとか力になりたいと言ってくださる方もいます。

それでも、支援につながらないのはどうして?

それでも、人がこぼれ落ちるときはどんなとき?

 

私たちは

(1)支援が必要な方をキャッチすること

(2)仕組みの隙間にこぼれ落ちるところでポケットになること    を目指しています。

 

誰もが安全で安心な生活をのぞんでいます。子育てがもっと地域にひらかれ、コアラのポケットにまもられますように。

 

近年、虐待予防には妊娠前からの支援が望ましいとされていますが、子育ては子ども時代から既にはじまっています。

過酷な環境で傷つきながら大人になり、生きづらさを抱えながら子育てをするのは大変なことです。

孤立しながら、子育てに悩み、虐待や貧困が連鎖してしまうことは、むしろ自然のように思います。

家庭の中で、がんばりや努力で解決できる問題ではありません。

 

この世代で、みんなで子育てに関わり、連鎖をとめる。

それが「そらいろコアラ」のミッションです。